きみのうしろ姿


沙姫が、呆然とした眼で床を見つめている。

何かが倒れたんだって。
瞬間的に判断した俺は、急いで扉を開ける。

ベリーが、真赤な液体を流して倒れていた。
棚の下敷きになって。
凄惨な光景。
状況の理解が追いつかない。

沙姫をみると、呆然と突っ立っているだけで。
はっと、我に返ってオレと眼が合うと、恐怖の色が滲み出た。

その瞬間、オレは衝動的に沙姫を殴り倒そうとしていた。
でも、そうしなかった。
理由は、女の子だからとか、必死に耐えたからとか、そんなんじゃなくて。

ただ、ベリーを助けたかった。
それが最優先だった。
ベリーが無事ならなんでもいい。
そんなことを本気で考えた。

でもベリーが無事だってわかった途端、怒りが沸々とわいて出てきた。
オレは本当に自分勝手だ。
だから唯一の幼馴染に向かって、あんな暴言を吐いた。

夢中だった。

頭がいっぱいだった。

胸の中を渦巻く憎悪にも似た感情が、
そうしろ
って
言ってるような感じ。


ってゆー言い訳。


だからこんな結果を招いてしまった。

沙姫は、何もしていなかった。
ベリーが自分の意思でかばった。
だから全部自分のせいなんだ。
って、なぜかベリーが弁解し始めて。

オレはまた夢中で走った。

一番言ってはいけないことを
一番してはいけないことを
よりによって幼馴染にオレは言った。

許してもらえるかなんてわかんないけど、
本当に悪いことをしたって言う罪悪感が原動力になって、校舎を駆けずり回る。