きみのうしろ姿


でも私は振り向かない。
振り向けない。

「・・・ごめん!」

背中が何かの気配を感じた。
たぶん頭を下げたんだ。

「ベリーから、全部聞いた。ほんとごめんな!俺必死で、周り見えてなくて・・・」

言い訳を聞かされても、私は動かないでいた。
知ってる。
知ってるよ、
だから謝られても困る。

結果的に、また直希に期待することになるから。

「・・・怒るのも当然だってわかってる」
「・・・」
「・・・おいって」

焦れたらしいあいつに肩を掴まれる。
これは振り向けって言ってんのかな。

「・・・沙姫」
「あのさ」

決意が揺らぐ前に、私は踏ん切りをつけようと振り向いた。
直希が、ちょっとびっくりしたみたいに私を見つめる。

「直希、ベリーのこと、好きでしょ」
「・・・ぅえっ!?」

声が震えた。
でも直希はそれに気づかず、なんでバレたのかと動揺していた。
胸が痛む。

「・・・分かりやすすぎんの、あんた」
「は、はあ?」

あてつけに皮肉じみたことを言ったが、相当動揺しているのかいつものように言い返されなかった。

「・・・彼女いるんじゃないの」

私は俯いて言う。

「いるよ。でも俺は、好きじゃない」
「は・・・っ?なにそれ遊びってこと?」
「違う違う!・・・なんか、断れなかったんだよ。直接傷つけることと同じだから・・・」

・・・ばかじゃん。
それで中途半端に付き合っても、振られる時の方がもっと辛いのに。