きみのうしろ姿


「ご・・・ごめんなさ」
「お前がやったんだろ」

・・・え?
直希の口から放たれた言葉は、私にはあまりにも不可解で。
理解の領域を越えていて。

ただ、これ以上怒らせたくない。
その一心で、必死に言葉を選ぶ。

「なに、を・・・」

単語を繋げるように途切れ途切れで言うと、直希にものすごい剣幕で凄まれた。
今までにも見たことのないその表情に、ひっと声を漏らす。

「お前が、倒したんだろ!!」
「・・・わ、わたし・・・が?」

私が、倒した?
棚を?
それって、わざと・・・?
え?

なんで?

「違うよ・・・!」
「嘘だ!お前以外いねーだろ!!それとも棚が自分で倒れたって言うのかよ」
「嘘じゃない・・・!やってないよ!」
「じゃあなんで倒れたんだよ」
「それは・・・っ」

言い返そうとして言葉に詰まった。

私の不注意。
だから倒れた。
だから怪我をさせた。

それは、私が倒したのと同じこと―――?

「・・・」

何も言えない私を見た直希は、ふっと心底軽蔑するような目で笑った。

「ふざけんなよ・・・」

言葉が心のあちこちに突き刺さる。
ふざけてなんかない。
確かに私が倒したのと同じかもしれないけど・・・!
でも・・・。

じわりと涙がにじんだ。
視界が歪む。
直希が、見えない。

ショックだった。

信じて欲しかったんだよ・・・。
信じてくれるって思ってたんだよ・・・!

私はまだ、そうやって直希のこと信じてたのに・・・!!

「・・・っ!」

いたたまれなくなった私は資料室を飛び出した。