動揺が隠せない。
直希だ。
直希がいる。
ずかずかと部屋に入ってきたあいつは、私の存在なんかまるで本当になかったみたいに無視して、早急に棚を退かした。
私はそれを、立って見ていることしかできなかった。
足がすくむ。
ひょっとして、いやたぶん間違いない。
ベリーは私をかばったんだ。
私の代わりにベリーが棚の下敷きになって。
それで・・・。
私は耐えられずに二人から視線を逸らした。
「沙姫ちゃん・・・」
ベリーの声に体が跳ねる。
俯いているせいで表情は見えない。
けれど彼の鋭い視線は、的確に私を捉え、貫く。
「沙姫」
怒気のこもった声に、必死になって涙を堪える。
いや。ごめんなさい。
見ないで。
怖い。
体の震えが止まらない。
なんとか唇を動かして、微かな声を出す。
「・・・わ、たし、の」
私のせいだ。
私が注意しなかったから。
ベリーの忠告をちゃんと聞かなかったから。
「何してんだよ!」
怒声が降ってきた。
びくっと身を縮める。
もう何をしたらいいのかわからない。
「直希、くん」
ベリーがなだめるように言った。
直希はその声で我に返ったように静まった。
でもまだ、私への怒りは収まっていないようで。
最後には冷たい目を向け舌打ちした。
「大丈夫か?」
「うん、平気。ありがと」
ベリーは直希の手を借りて、ふらつきながら立ち上がった。

