きみのうしろ姿


そうだ、せっかく手伝いに来たんだし、私も探そうっと。

そう思い立った私は、腕まくりをして目の前の棚を見上げた。
埃だらけの棚は錆びたネジで支えられているが、確かに頑丈そうには見えない。
しばらくその不安定な棚を眺めていると、何段か上の棚にそれらしき紙を発見した。

「あ・・・」

目を凝らして見ると、細かい海岸線が印刷されているのがわかった。
目分量で、40cmくらいかなーと推測した私は、背伸びをしながら目一杯手を伸ばす。
でも、思ったより私の腕は短くて、あと数cmを残して届かない。

だから私は焦れた。
油断してしまった。
ベリーの忠告を忘れて。

「――沙姫ちゃん!」
「え?」

振り返る前に、視界が回った。
背中を強く押されて突き飛ばされたらしい。
私はよろけながら何事かと振り返ろうとした。
危ないじゃん、何すんの。
そう叫ぼうと意気込んで。

でもたぶんその次の瞬間には、大きく、その上耳障りな音が部屋中に響き渡っていた。

心臓を鷲掴みにされた気分だった。
嫌な想像が脳裏をよぎる。
整理できていない頭で自分の置かれている状況を考える。
けれど、それは全てベリーのうめき声が語った。

「うっ・・・」

恐る恐る背後を振り返る。
汗ばんでいる手をぎゅっと握り締めた。

視界いっぱいに広がるその光景を見たとき、私は激しい動悸を覚えた。

棚が、ベリーの体の上に倒れていた。
ベリーの頭から滴っている赤い液体を見て、私は息を呑む。
頭の中で、情報が飛び交って、収拾がつかなくなっている。

「沙姫・・・ちゃん・・・」
「や・・・ベ、リー・・・」

呂律が回らず曖昧に喋る。
すると、また背後で大きな音がした。
扉が開かれたらしい。耳鳴りがする。
なぜか振り向けない。

「ベリー!!」

・・・え?
耳の奥で声が反響する。
私はもう、頭の中が真っ白だった。