きみのうしろ姿


「あのねベリー、昨日のことは、ベリーは悪くないよ」
「え・・・でも、怒ってたし・・・」

ベリーは不安そうな面持ちで子犬のように私を見る。

「それは・・・まあ・・・いろいろあって、私がイライラしてただけ。だからごめんね?謝るのは私の方」

そう言うと、ベリーの顔にパッと輝きが戻った。

「本当?本当に、それだけですか?」
「うん。昨日はごめん」

改めて頭を下げると、ベリーは安堵の息を漏らした。
そしてすっかり安心した表情で、脚立に足をかける。
そのうしろ姿から、音符が飛び交っているみたいで、私はまた笑う。

「・・・あ、ベリー」
「なぁに?」

その機嫌の治り具合に苦笑しつつ、私は聞き忘れていた事を話す。

「さっき、直希と何話してたの?」
「直希くんと?・・・ああ、さっきの」

そう、というと、ベリーは資料を探しながらふふっと微笑んだ。

「ただ私が、沙姫ちゃんに何か嫌がるようなことをしたんじゃないかって勘違いしてただけ。それで直希くんが、沙姫ちゃんと幼馴染なんだって話してたのを思い出して、相談してたのよ」
「相談」

私は言葉とともにホッとため息をついて納得した。
そうかそれで、私の名前が出てきたわけか。
するとその様子を見つめていたベリーが、意味深ににやにや笑い出した。

「そうそう。・・・何もないから安心して、ねっ」
「はい・・・?」

念を押されてる・・・?気のせいかな。
私は首を傾げたが、ベリーが棚に視線を戻したので気にしないことにした。

「そういえば、さっきから何探してんの?」
「世界地図」

現国需要ないでしょ・・・。
私は戸惑いつつ、ははっと笑い声を上げる。
ほんとに、ボケてるってゆーか。