ベリーは両手に紙袋を下げて、[資料室2]と書かれた部屋の前で止まった。
「沙姫ちゃん、これで開けて」
ベリーはポケットから鍵を出して渡した。
手が使えるなら自分で開ければいいのに。
と考えつつ、私は指示に従って鍵を開ける。
中は予想通り廊下くらいの幅の狭い部屋だった。
壁に大量の紙類や本がしっちゃかめっちゃかになって、重ねて置かれている。
薄暗く埃をかぶっているところがあって、窓が小さいせいか異常に寒かった。
私が壁の照明のスイッチを押して電気をつけると、ベリーは部屋の隅に紙袋を置いて、そばにあった脚立を持ってきた。
ベリーと脚立・・・恐ろしいほど違和感があるな。
苦笑いをした私が棚にもたれかかろうとすると、それを見た瞬間ベリーは慌てて棚を抑えた。
「あぶなっ・・・」
「え」
いまいち状況がよく掴めないでいる私に、ベリーは大きく深呼吸をしながら真剣な眼差しを向けた。
「この棚、不安定なのに資料がたくさん乗ってるでしょ。だから倒れやすくて危ないのよ。気をつけてね。あぁ、びっくりした・・・」
そんなこと言われても・・・。
実際倒れたわけじゃないから、実感わかないし。
でもそんなの知らないベリーはまた深呼吸をしながら胸を抑える。
私はクスリと笑った。
だけれど、やっぱり心は晴れないままだった。
「ベリー・・・」
私は遠慮気味に話しかけた。
ベリーは一瞬硬直したあと、ぎこちなく振り返る。
「話って、何?」
「・・・」
できるだけ柔らかく言ったつもりだったけど、どうだろう。
ベリーは黙ったままだ。

