きみのうしろ姿


嫉妬ばかりで、周りをよく見なかった。
何してんの、私。
ほんとにバカ。

「・・・沙姫ちゃん?沙姫ちゃん!」
「わー!!」

体を揺すられて、驚いて我に返る。
し、しまった・・・。
拓海くんの話、無視してた?
慌てて顔の前で両手を合わせる。

「ごめん!何だっけ」
「・・・オレ、何も喋ってないよ」

耳に通った言葉に、え、と言って目を丸くした。
気遣わせちゃった?

「嘘。10分くらい黙ってたでしょ、私」
「いや、2分くらいだよ?」
「そーなの?」

なら、いいんだけど。
そして私は前を向いた。
えーっと次は・・・。
あ、そうだ、現国だ。

・・・謝ろう、ベリーに。
私が何をしたって、仕方がないんだって。
前からわかってたことなのにね。

ふと顔を上げると、ニコニコとご機嫌な笑顔の直希が映った。
同時に、胸が締め付けられる。

やめて。

なんて、また思ってしまう私は、きっとすごく嫌な子。
でも、そんな顔の直希を見るたびに、夢の映像が頭の中をよぎって、不安になる。
そんな不安を消し去りたくて、頭を左右に振った。
でも、胸のモヤモヤは消えることはなかった。

突然扉を開く音がして、ビクッと反応する。
同時に、前の席のイスがガタッと音を立てた。

「・・・おはようございます」
「おはよ、ベリー!」

真っ先にベリーのもとへ向かったのは、直希だった。

・・・無邪気な笑顔。
そう思って直希を目で追っていると、ベリーがこっちを見ているのに気づいた。
その瞬間、バッと目をそらす。
や・・・やっちまった・・・。