きみのうしろ姿


ベリーは涙を必死に止めようとしているみたいだった。
でもそれは止まらないらしく、やがて沈黙が訪れた。

「ごめん・・・ごめんね・・・っ」

そんな小さな声を聞いたオレの体は、考えるよりも先に勝手に動いた。
俺はベリーの肩を両手でしっかり掴んで、まっすぐにベリーを見た。

「我慢なんか、するなよ!泣けばいいじゃん!!」
「・・・ははっ」

ベリーは目を丸くして瞬きをしたあと、吹き出すように笑った。

え?
今なんか、おかしいこと言った?

ベリーが笑っている理由がわからなくて、キョトンとした顔をする。

「ありがとう。きみは優しいんだね」

優しく微笑んだその表情に、ちょっとびっくりして言葉をなくす。
心臓が波打つのが速くなった。
なんだこれ・・・

「えっと・・・杉岡・・・直希くん?」
「そう!覚えててくれたんだ」

初めて名前呼ばれた。
それだけで、無性に嬉しくなる。

何・・・何か変だ。
今まで付き合ってきた女子に名前呼ばれたって、何も感じなかったのに。

ベリーが呼ぶと、何か、

照れる・・・?


・・・あれ!?

もしかして俺、赤くなってる!?
顔すっげー熱いんだけど・・・。

「あーあ!杉岡くんのおかげで涙なんかどこかに行っちゃったよ」
「直希でいーよ!」
「はいはい直希くん」

ごく普通の会話を交わしているだけなのに、なんでか楽しいと思っている自分がいた。

「直希くん、好きな人いる?」

急に投げかけられた質問に、えっと動揺する。
でもそんなに深い考えはないのか、回答を聞く前に顔を伏せた。

まるで自分が聞いたことなんか忘れたみたいに。