きみのうしろ姿


改めてそう言うと、表情がパッと明るくなった。

「あ・・・ありがとう・・・っ!」

最後には涙目になりながらそう言った彼女。
オレはそこまで喜ぶ彼女の気持ちがわからなかった。




そしてオレは高校に上がって。
沙姫も一緒の高校に入ったのを不思議に思っていた。
だって、沙姫は確かかなり頭が悪くて・・・
この高校は、沙姫が受かれるような偏差値じゃなかったはず。
まあでも、そんな疑問はすぐに消え薄れた。

一目惚れ。
とまではいかないけど。
ふわふわした雰囲気で、優しそうな色をした瞳。
そんなあの人が、少し気になっていた。

「沢井真紀です。現国の教科担任を任されました!よろしくねー!」

予想通り、人懐っこい笑顔。
沢井真紀って言うんだ、あの人。
現国かー・・・

その日から、現国の授業が少し楽しみになった。



ある日。
部活が始まって、少しだけ校内が静まった放課後のことだった。

「あーもー・・・なんでオレが・・・」

運悪く通りかかった歴史の教科担任に、大量のプリントを教室に運ぶように頼まれてしまった。

『頼むよ!なんか彼女がオレの親にケンカ売ったらしいんだよ!』
『はぁー?』
『わり、じゃ、よろしく頼む!!』

「っとに・・・」

あいつの彼女?ケンカ売った?
どーやったらそんな修羅場に・・・
まあ仕事は、引き受けたからにはしっかりやるけど。
あーあ、今頃「こ、これはそのぉ・・・」とか言いながら弁解してんのかなぁ。


「・・・終わったー」

教室に全て運び終えたオレは、力なくそう言った。
・・・多すぎ。