きみのうしろ姿


「・・・さん・・・白井さん!」
「え・・・あ、はい」

私は伏せていた頭を上げた。
目の前には、心配そうな表情をしたベリー。
教室内には、私とベリー以外には誰もいなかった。

夢・・・。

しばらくしてそう気づくと、やっと頭が回転し始めた。
あー・・・そうか。
寝ちゃったのか・・・。

夢だと分かって、ホッとひと安心する。
よかった・・・。
本当によかった。
あんなのが現実に起きたら私・・・。

考えるだけでゾッとした。

「白井さん?大丈夫?」
「・・・」

私はそれには応答せずにベリーを一瞥した。


―――もしもこの人が。
直希のことを・・・好きになったら。

直希は夢のように、私の隣から・・・


胸がドクンと波打つ。

そんなことには絶対にさせない。
その思いもあったし、何よりも。


ずるい。


「保健室行く?」

そんな優しい声にも、安心どころか嫌悪を感じる。

私はベリーをじろりと睨み、カバンを乱暴に掴んで立ち上がった。
ベリーは自分がなぜ睨まれたのかわからないという表情でうろたえていた。

でも、そんなベリーを見ても、罪悪感すら感じなかった。


ただ、直希を取られたくない一心で。

その思いが、ベリーを“敵”に仕立て上げていた。