「サヤさんってネコみたいですよね」

「えっ?」

「ほら、こんな風に真ん丸な目で人のことを真っ直ぐ見るところとか」


ネコみたい、なんて言われたの初めてだ。

でも、私なんかよりも――


「…ネコっぽいって言うなら、あなたでしょう?」

「そうですか?…じゃあ、ネコ同士、仲良くしましょうか」

「!」


ふわりとネコ王子の長い腕が伸びてきて、私を柔らかく包む。

視界の端に、さっきまでネコ王子の手の中にいたネコが去っていくのが見えた。


「…先輩からとっちゃおうかな。サヤさんのこと」


ネコ王子から飛び出てきた想像もしていなかった言葉に、私は焦った。


「!何言って…ちょ、離して…っ」

「ダメ。気に入っちゃったから」

「そ、そんなの、気まぐれでしょう!?」

「気まぐれ?…どうかな。でも、今はこうしたいって思ってるのは事実だから」

「ひゃ…っ!」


ペロリと耳たぶを舐められる。


「サヤさんの耳、柔らかくて気持ちいい。…手も肉球みたいにぷにぷにしてるね」

「っ」

「…やっぱり欲しいな。…ほら、今ネコも発情期真っ盛りだしさ」

「は、発情期って…!」


何てこと言うの!