『結婚するの。
だからもう、手紙は書けない。』
何度も何度も書き直して、最終的に綴ったのはこの言葉。
…でも、そんなのは嘘。
年齢的にも結婚を考えないわけではないけど、私たちの間にはまだその言葉はハッキリとは出ていない。
でも…
ただ、あなたの字を見るのが辛くなった。
今の彼を裏切っているという気持ちと…
あなたに逢いたいという気持ちが、大きく膨らんでしまうから。
本当は、あなたに逢いたい――…。
いつも送ってくれる写真の風景のように…
あなたの瞳(ファインダー)に私を写して欲しい――…。
この手紙を出すかどうか、何日も悩んだ。
毎日のようにポストの前まで通っては、やっぱり出せなくて通り過ぎた。
…ようやく投函できたのは、手紙を書いてから1ヶ月後のことだった。

