私に焦りが生まれる。

私は咲子だって、白状した方がいいかも…!


「あ、あのっ、輪く…」

「黙って?…優しくして欲しいでしょ?」

「や…っ」


ちゅっ、とリップ音を立てて、私の額にキスが降ってきた。

ちゅ、ちゅ、と何度も啄むように額や頬にキスを落とされる。

…ほんとに、優しい。

結子にこんな風に触れてるんだ…。

何か、いいな。

私にもちゃんと彼氏がいるのに、何でそんなことを思ってしまったのか、わからない。


「……咲子」

「うん…」

「…咲子」

「―――…うん…、って、えっ!?」


ガバッと輪くんから身体を離す。

わ、わ、私の名前…!?


「な、何でっ!?」


私の焦りとは反対に、輪くんはニヤリと笑った。


「間違えるわけないでしょ?最初から咲子サンだってわかってたよ」

「う、嘘!な、なら、何で結子の名前を…」

「…何でだと思う?」


輪くんの視線はいつも結子に向けているものとは違う。

…5つも年下の男の子とは思えないほどの色っぽい瞳――…。


「――わ、わからないよ…」