「―――」


ふと男の人の動きが止まり、目が少し見開かれた。

…え?

な、何…?


「…お前…」


…ん?

この声…聞いたこと…

それに、顔も何か見たこと―――…

ふと頭に浮かんだのは、担任の小倉先生。

…似てる。

…え、でも、まさか…


「…そんな格好で何してるんだ?早川」


やっぱり!


「せっ、せん…むぐっ!」


またもや先生の手が私の唇を塞ぐ。


「バカ。だから、静かにしろって」


小声で先生が私を叱る。

ていうか、それなら!

私は先生の手を退かす。


「先生こそ、何でそんな格好してるんですか!?」(小声でしゃべってます!)

「…っ、あー」


先生に『マズイ』というような困惑した表情が浮かぶ。

その表情は、いつも偉そうでほとんど笑うこともなく眉間に皺を寄せている先生とは違っていた。(小倉先生はドSな鬼先生だ!)

いつものオールバックではなく、前髪を下ろしているのも手伝っているのかもしれないけど…何だか子どもっぽく見える…。


「…誰にも言うなよ?」

「…は、はぁ。」


何なの?

何か危ない趣味?