人生は切り開いて行くものなのか、初めからそういう運命だったのか、それはずっと先、いずれ解ることなんだろう。


「こんばんは。」


本に夢中で、誰か入って来たのも気が付かなかった。


涼だ。


「こんばんは。
ひとり?」



「となり、いいですか?」



ドキドキしすぎて飲まずにはいられない。


「一行はこれから来るんですか?」



「ううん、学生時代の集まりだって。

涼くん聞いてない?」


「連絡きてないなぁ。」


「へんだね。」



「元気でしたか?」



「うん、元気。

この間来なかったから、みんなつまらなそうだったよ。」



「すみません。
ちょっとストライキでした。

麗子さんにフラレちゃったから。」



怖くて続きを聞けない。


「ひとりで賭けをしたんです。

一行をよろしくって言って、麗子さんが否定したら俺の番だって。
でもダメだった。

だからストライキ。」



私はゆっくり涼の顔を見た。


「ありがとう。

うれしい。」



混んで来たからと店を出て、なんとなく歩き始めた。



信号で止まり、目を凝らすと、もう一つ先の信号を渡る人影が一行に見えた。


それも親しそうな女性が一緒だ。


「あっ一行。

涼くん、隣 誰?」





「元カノ」




えぇ……

ドラマじゃないんだから、勘弁してよ。