正幸さんからは

「会長になったとたん、腰抜かしそうになりました。」


とメールが届き、変わらず楽しく飲みましょうと、締められていた。


来月にせまった私の誕生日で、三十代ともあと一年の付き合いだ。

一行の歳を比べれば、めまいを起こしそうになるのも不思議ではなく、これから先、心の葛藤もあるだろう。


「パーティやろうね。
誕生日パーティ!

二人でケーキ半分ずつ食べるの」


何年か前、味気無いケーキを1ホール一人で全部食べた話を一行は腹を抱えて笑った。


「食い過ぎ」





そしてこの日、会長の呼び掛けで集まった場所は、賑やかな居酒屋の一室だった。


私達の事をみんなに打ち明けると、会社の若い女の子達は


「先輩のおかげで勇気湧いてきました。」

と泣いてる娘までいる。


「黙ってる自信ありませ~ん」 と。


一行は照れながらも、“先輩”とも”っす“とも、私にはもう言わない。







そして、結局 この日ここに 涼はやって来なかった。