いつか「あとがき」という文字を書く日が来るようにと、「つづく…」の文字を何度も重ねて、やっと本当にその時を迎える事が出来ました。
「あとがき」を書く事は、もうずいぶん前から決めていて、完結もしていないうちから
「あの事書いて、この事も書いて…」
なんて、心待ちにしていた、私のあこがれの場でもありました。
私はいつも、これから本を読もうと最初のページを開く前に、「あとがき」を誰が書いているのかとても気になって、その筆者によっては我慢が出来ずに先に読んでしまう事があるほどで、本の内容によっては少しネタバレ的な失敗をして苦笑いしてしまう事もありますが、それはそれでまた楽しく、その本への労いや思いがけない真実を見る喜びが詰まっている「あとがき」は、ある意味、もうひとつの物語を運んでくれる秘密の場所だと、勝手に期待を抱いているのかもしれません。
みなさんが麗子や一行に見たそれぞれの生き方を、この場所でもう一度思い出して頂ける事を願って、この物語の本当の最後のページを書こうと思います。
この物語を書き始めてから、もう二年も経ってしまいました。
途中、書く事の出来ない時期もあったので、実際の所は一年半くらいでしょうか。
家事をしながら、仕事をしながら、それは私にとって大変楽しく、でもそれと同時に、自分自身と向き合う有意義な時間でもありました。
私は父親の介護十二年目を迎えていました。
元々、文章を書く事が好きで、学生の頃から書きためたものが大学ノートにたくさん残っていますが、その頃の私は昼も夜もなく介護に明け暮れ、文章を書く事など皆無に等しく、隔離された枠の中でもがいていたのかもしれません。
夜にふとひとりになってテレビの音さえない部屋の椅子に腰をおろすと、社会から取り残されてしまいそうな不安が、私を襲って来る気さえしました。


