『無明の果て』

麗ちゃんが会社を一緒にやらないかと、僕に言った事を覚えていますか?

あの時は、意味もなく悔しくて


”それはないよ“


なんて言ったけど、いつかそんな事が実現したら素敵だななんて思えるようになったのは、麗ちゃんと離れて、ひとり大阪で揉まれた成果かもしれません。



こんな風に人の気持ちは変化するものだと云う事を、これからの暮らしで僕はたくさん経験して行くんだろうね。



それから、絢はちゃんと僕達の事を分かってくれるはずだから、僕が帰るまでよろしくお願いします。



大好きだよって、いっぱい言ってあげてね。


麗ちゃん



夢は何?って聞いたら、今の麗ちゃんは何て答えるんだろう。



聞いてみたい気もするけど、だけどそれはまだ聞かないでいた方がいいかもしれないね。


だってきっとまた僕を驚かせて、どうしたらいいのか分からなくなってしまうと困るから。



麗ちゃんと絢の寝顔を見ながら、本当はこのまま一緒に居られたらどんなに幸せかと思っています。



麗ちゃん

会社設立おめでとう。
行ってきます。


一行」








絢が目を覚ました。


一行を探している。