『無明の果て』

私はバックから手帳を取り出し、間に挟んであった写真を手に



「一行、これ、ここに置いていいよね。」


そう言った。



それは、教会の階段で幸せに満ちた姿をした あの日の三人の写真だった。



「御守りにしていたの。」



「いいの?」



「岩沢さんに見せてないから、置かせてもらうわ。


それに、御守りはもういらないから。


一行と絢がいるからもう要らないの。」




”AKIRA“


と彫られた字の上に それを置き、私はそっと手をかざした。




「帰ります。」