『無明の果て』

「一行は頑張ってるよ。
違う部所になっちゃって寂しいけどね。」


「そうですか。
一行は本当に良いやつなんです。
俺が女ならほっとかないんだけどなぁ。」


「もしかして、そういい仲だったりして。」


「いやぁ~ん」


今までの印象と違う涼は、かなりのポイントアップである。


「麗子さん、飲み会の前に付き合ってほしい所があるんですけど、都合どうかなと思って。」


「どこ?
私でいいの?」


「初給料で親にプレゼントっていうやつ、やってみようかなって思って。
何がいいのか、選んで欲しいんです。」


「泣かせるじゃないの涼くん。
いいよ。
じゃ何処かで待ち合わせする?
まかせておいて。」


「良かったぁ。」


それから、あれがいい、こればどう? と盛り上がり、結局 定番だけど時計にしようということになった。


「なんだか恥ずかしいな、ペアウォッチ。」


「そんなことないよ。
喜ぶと思うよ。」


最近の若者は、なんて歳だとは思ってないけど、涼も一行も 歳の離れたキャリアウーマンをしびれさせている。



愛とか 恋とか 言っちゃいけない。




何度も自分に言いきかせている。