─空人─


空人は建物から出てくると、氷暮が立っている場所を見た。


だがそこには、高校生くらいの男が3人、立っている。


いや─その真ん中に、氷暮がいた。


「先輩っ…」


ナンパだと、すぐに気づいた。


そこで、踏み出していた足をはたと止める。


(“先輩”だと、下だってバレるかもしれない…)


空人は覚悟を決めて、また足に力を入れた。