年下くんとの水曜日。【完】

─氷暮はたっぷり1時間、本を見回した。


結局、好きな作家の新刊を買っている。



「あ、そうだ。」


氷暮は会計を済ませ、待っていた空人の元に戻ると、

カバンの中から本を取り出した。


「あれ、これって一昨日貸した、朱音のやつじゃ…?」


氷暮は素直にうなずいた。


「面白くて、昨日読みきっちゃった。朱音ちゃんにお礼言っといて。」


空人は驚きながら笑って、本を受け取った。


「読むの速すぎますって。」