「何してんの?」


不意に声が聞こえ、氷暮は部屋のドアを見た。


そこには─高2の兄の氷遊(ヒユウ)がいた。


前髪は目にかかっていて、黒く太めのフレームの眼鏡により、余計に目が隠れている。

その間から見える目は、鋭い光を放っていた。


口元はニヤリと持ち上がっている。


「何おしゃれしちゃって。まさか彼氏?」


「んなわけないじゃん。」


氷暮はあからさまに顔をしかめた。