一気に、病室が元の不快感に戻ったような気がした。


(あぁ、これはヤバい…)


氷暮は直感的に感じた。

すでに息が荒くなり始めている。



氷暮は唐突に、立ち上がった。


「え…氷暮さん?」


朱音の心配そうな顔が見える。


「ごめん…もう帰らなきゃいけない時間なんだ…。空人には、よろしく言っといて。」


氷暮は、無理に笑った。

本当なら、走って部屋から出たいくらいである。