そこでふと、氷暮は思い至った。

嬉しそうに棚を眺める空人を見る。


「…なんで、そんな本探してんの?いつもの物語系はどうしたの?」


空人はゆっくりと氷暮を見ると、ニコッと微笑んだ。


「ちょっとね…俺の幼なじみが、入院してるんスよ。まあ、元々体弱かったし…」


(…その人は、誰?)


氷暮はもやもやとした思いが胸を締め付けるような感覚に襲われた。