その笑い顔がどこか優しげで、朱音は反応が遅れた。


気がついたら須崎は歩き出していた。


「ちょ…いらないよ…!」


叫んだら、須崎が振り向いた。


笑っている。


逆光だからか、不覚にもかっこよく見えた。



「いいから。」


須崎は手を振りながら去ってしまった。


「…………」


朱音はそっと、それを握りしめた。