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氷暮が借りたかった本を借りて教室に戻ると、

すぐに木村さんが近づいてきた。



「あ、有坂さん。」


氷暮は心の中でため息をついた。


だが黙って木村の話しを聞く。



「空人くんから、手紙預かってるの。はい。あ、中は読んでないから安心してね。」


木村は一方的に四つ織りにした紙を押し付けると、

また輪の中に戻っていった。