─木曜日


氷暮はいつものように登校していた。


だが少し早めに出てしまったため、本を読みながらだ。


十字路を右に曲がれば、すぐそこに校門はある。



「あれ…氷暮先輩…?」


朝から思わぬ声がして、氷暮は顔を上げた。


ちょうど前から、空人が歩いて来ていた。


「…!」



そしてその隣には─

氷暮と同じ制服を着た、朱音の姿があった…─。