─空人─


(言ってしまった…うわー、ヤバかったかな…)


その頃空人は、下駄箱に向かいながら口元を手で覆っていた。


顔が赤いのを隠すためだ。


(先輩…彼氏いんのになあ…。それに俺には朱音がいる…忘れなきゃなんねぇんだよな…)


空人はガシガシと頭を掻いた。


だがまだ脳裏には、日曜日に何度も見た氷暮の笑顔が残っていた…。