「さあ、あんたの名前は?」
「『トロイア……』」
トロイア……、聞いたことがないから、力の弱い悪魔だろう。
しかし、力の弱い悪魔が人間をあそこまで乗っ取ることは、ほぼ不可能に近い。
あたしは口に手を当てて、少し考えこんだ。
力がなくとも、誰かに与えられれば用は足りる。
でも問題は与えた人物は誰か、ということだ。
調べてみる必要がありそうだ。
「………瑠美ちゃん」
急に魔遊の声がして、そちらの方を見てみれば、魔遊がいつの間にか衰弱していた。
「えっ、ちょっ、魔遊!?何があったの!?」
額には大量の汗。
さっき魔遊は魔力を使っていたが、あれでここまでなるはずがない。
と、いうことは――――

