もう何日もヒトと話していない。 そろそろこの口が言葉を忘れてしまうかも。 そんな時ソイツは現れた。 月光だけが照らす部屋に、突然姿を現した。 俺は、その姿に魅入った。 昔、聞いたことがある。 人は死に際に死神に会う、と。 黒い服を纏ったコイツが死神なんだと、妙に納得した。 「あー……俺も死に時か。」 「え?」 「死神ってやつでしょ、アンタ」 ソイツは驚いた顔をした。