除夜の鐘を聞きながら、家を出て、人混みに揺れながら神社に着いた頃には、年は明けていた。

冷たい空気を肌に感じながら、君と繋がる指先は何時でも、とても暖かい。


「凄い人だねぇ…」

「お前、絶対はぐれるなよ?」

「はぐれないよ!」


しっかりと繋いだ手を挙げて君が笑った。

歳より幼く見えるその顔が、いっそう幼く見えた。


「なー、5円用意してきた?」

「勿論っ!5円だけ別にポケットに入れてきたもんね。」


にっこり笑って、繋いでない方の手でポケットをポンポンと叩いてみせた君。


「俺も。5円でしこたまお願い聞いてもらお。」

「んふふ。しこたまって…何をお願いするの?」

「小遣上がりますように。成績伸びますように。ついでに身長も伸びますように。とか?」

「お小遣はおばちゃんにお願いしなきゃ!成績は自分次第でしょー?後、身長はもう伸びないで!私がちびに見えるから。」

「ちびじゃん。」

「むぅ…身長縮め!ってお願いしとくよ。そして、私の身長よ、伸びろ!」


そう言ってにんまり笑った君。俺との身長差を気にしている様だ。

あんまり伸びられると俺が困るんだけど、もう伸びねぇんだろうな。と、彼女の小さな手を握りしめながら思ったことは、内緒にしておこう。