「五年もたつと知らないことばかりだね?」 少し悲しそうに優ちゃんが言うから少し胸が痛くなった。 確かに、昔は知らないことの方が少なかった。 でも今は…… 「留学先はどんな所だったの?」 優ちゃんは表情を崩さないまま言った。 「…すごく、退屈だったよ。」 え? 信じられない。 あんなにピアノが好きな優ちゃんが、退屈なんて言うなんて。