結局、その日優ちゃんには会えなかった。 千広くんと帰り道を歩くけど二人の間に会話はない。 「…優一は、もうピアノを弾けない。」 立ち止まる千広くん。 「…え?」 顔を上げた千広くんは確かにわたしにそう言った。 「…優一は右手の神経を切ったんだよ。だから、さっきみたいに…」 苦しそうに右手をつかむ優ちゃんが浮かんだ。 「どうして………」