足は自然と優ちゃんの働く音楽教室に向いていた。



外からのぞくと優ちゃんはピアノを弾く子供を見ながら指示をしている。



優ちゃんは鍵盤には触れない。




「…どうして弾かないの、」



わたしは小さくそう呟いていた。




簡単な曲、だった。
だけど優ちゃんは弾かない。