ママはなぜか、優しく笑ったままうちの前を歩き始めた。 みんな、どないしたんやろう。 きっと、今の状況を分かってへんのはうちだけや。 輝樹の病室の前に着いた。 コンコンッ――― 「はい?」 輝樹の返事が聞こえて、そっとそのドアを開けた。 「輝樹?」 「っ、お姉ちゃん!」 輝樹はベッドに寝てて、でも体を起こしてうちを迎えてくれた。 「今大丈夫なん?」 「うん!僕、今日お姉ちゃんのところ行けなくてごめんね?」 「なんでや!いつも来てもらってるんやし、うちももう歩けるし!」