「せやから、うちの一番のお気に入り、って言うたら変かもしれへんけど、これをあげようと思って。」
ママに事の真相を話すと、納得してくれたみたいで「今から持って行ってあげたら?」って言うてくれた。
「せやな。今日、まだ輝樹来てへんから。調子悪いんかな?」
「ママも一緒に行こうかしら。」
「行こか!」
もうほとんど歩けるようになったうちは、ホンマに退院が近づいてることを実感してた。
輝樹の病室に向かってると、佐藤さんに会った。
「あ、佐藤さん!輝樹病室にいてます?」
「あ・・・その・・・。」
「え?」
佐藤さんの表情がはっきりしない。
「・・・佐藤さん?」


