お互い何も言えず、静かな空間で二人黙っていた。



「そろそろ寝ましょうか。消灯の時間ですね。」




「そういうところも、普通の家とはちゃいますもんね。」



「ですね。じゃぁ、また。今日は本当にありがとうござました。」




「いえ、こちらこそです。」




「では、おやすみなさい。」





佐藤さんは優しく微笑んで、病室を出て行った。






ふぅ~っと息を吐いて、天井を仰いだ。



真っ白な天井。




何もない。




横を向く。





白いカーテン。



木製の台。



小さなテレビ。



ママが持って来てくれた、うちの服が入ったボストンバッグ。