「輝樹に友達とかは、見舞いに来てくれへんのですか?」
「・・・輝樹くんは、小学校に入学する直前に入院したんです。だから、友達という友達は・・・いないはずなんです。」
今日、輝樹に初めて会ったとき、うちに向かって言うてた言葉を思い出した。
『早く学校に行って、みんなと遊びたいんだ。』
あの言葉には、どんな意味が込められてたんやろうか。
うちは軽く受け取った。
早く会って遊べたらええな、と。
ただそれだけしか思ってへんかった。
でも、それは、輝樹にとってとても・・・特別なことやったんや。
「きっと早くお友達が欲しかったはずですから、今日は本当に嬉しかったんだと思います。」
「・・・うちらにとっては普通のことやのに。」
「え?」
「輝樹にとって、友達を作るっていうことすらできないところなんですね、ここは。」
「・・・そうですね。寂しいところでしょうね。」
そのままうちと佐藤さんは黙り込んでしまった。


