「海外?!」
「あんな小さな息子さんを置いて、お二人ともお仕事で。」
「そんなん、無責任すぎるやないですか!」
「そうかもしれません。でも、私たちにはどうすることもできません。ご家族間のことですから。」
佐藤さんも、悲しい表情になりながら話を進めてくれた。
うちは、そんな佐藤さんを見て、輝樹のあの無邪気な笑顔のこと思い出してた。
「・・・あんなにも可愛らしい笑顔で笑ってくれたのに。ホンマは無理してるんですかね?」
「そうかもしれませんね。でも、今日はさっきもずっと鈴木さんの話をしてたんですよ?」
「うちの話ですか?」
「お姉ちゃんが、お姉ちゃんが、って。ふふっ、まるで本当のお姉さんのように、嬉しそうにしてました。」
まさかうちがそんな風に活躍・・・やなくて、人を笑わせてるなんて、思いもせぇへんかった。
「・・・そうですか。」
「輝樹くんの傍には、私たちしかいませんでしたから。きっと鈴木さんが新しくお友達になってくださったのが、よほど嬉しかったんですよ。」


