うちの手をキュッと握ってくれていたパパの手が放れて、今度は優しく打ちの頭を撫でてくれる。
でも、その時のパパの顔は、優しさの奥に何かがあるような気がした。
ホンマに、人が変わったかのように・・・。
「パパ、そんなに心配してくれてたん?」
「当たり前やろ?仕事、放り投げてきたやん。」
「ははっ」って笑いながらうちの頭を撫で続けてくれるパパは、それでもやっぱり無理に笑ってるように見えた。
「・・・ごめんな、パパ。」
「ええよ。仕事くらい、どうにでもなるんやから。」
そういう意味やないけど、今はもう、それでもええよ。
パパの目が、不安で不安で仕方ないって言ってるように見えたから。
「あんな?今日、パパにぶつかって、帰り道に自転車にぶつかる前にも小さい子にもぶつかっててん。今日はメッチャ散々な日やった。」
少しだけ笑いながら言うと、やっぱりパパも少し笑って「小さい子、泣かせへんかったんやろな?」とうちのほっぺを引っ張った。


