さっきまでの優しいれーくん、うちの記憶の中で永遠でいてください。
胸に手を当てて、トントンッと二回軽く叩いた。
「なにやってんだよ。どっか痛いのか。」
「ある意味イタイわ、れーくん。」
「俺はどこも痛かねぇよ。」
当の本人がこの調子やったら、ホンマに教えてくれる気配はない。
自分で調べろて、教えてくれたら済む話やのに。
別に減るもんでもないんやし、かといって増えるもんでもないし。
「お前の名前の由来って、笑うと美しく見える子になるように、とかじゃね?」
「せやから、それやったら笑ってへんときは、美しくないみたいに聞こえるやろ。」
「なら、そういうことなんだろ。」
失礼極まりないこの人は、口ではそんなこと言うておきながら、自分の今の表情に気付いてへんらしい。
苦しそうに笑わんでもええのに。


