「言う言う。言うけど、よく考えたらどうでもいいことなんだよな。」
「なんやねん。」
ボソッと、ふてくされたように呟いたうちの言葉は、夜空の下の静寂な空間に消えていった。
そして、次の瞬間、うちの耳がピクッと反応した。
「俺の名前、教えてやるよ。」
「・・・今、なんて?」
「だから、俺の名前。知りたがってたろ。」
なにがどうなって、そんなことになったんか、イチから説明してほしい。
今の会話で、どうやったられーくんの名前の話になるん?
しかも、やけに上から目線。
あのときのうちは、確かに知りたいと思ってたけど、今はれーくんで十分やとも思ってる。
でも、心のどこかでは何て言うんかな、て思ってたかもしれへんけど。
「・・・今更、だよな。」


