これやったらここに来た意味を問いたい、なんて考えてると、やっと隣から声が聞こえてきた。
「笑美」
しかもそれは、うちの名前である『笑美』という単語。
れーくんに名前呼ばれたんは・・・何回目?
「笑美って良い名前だよな。」
「なんやねん、急に。れーくんやっぱり熱あんねやろ?」
「俺は至って普通。おかしくもなければ変でもない。」
「冬真が羨ましいとか言うてたやん。いつものれーくんやったら、そんなこと言わへんやろ。」
「言わないかもな。でも、本当にそう思う。」
そう思う、ていうんは“冬真が羨ましい”っていうことに対してやろか。
空を仰ぎ続けるれーくんを見てて、ついにうちも行動した。
ええ加減にこっち見て話してほしいんやし。
ずっと独り言みたいに聞こえるれーくんの話を、ちゃんと聞こうと思った。


