「あのさ。」
クラスに戻ろうとするれーくんは、その前にうちに最後に声をかけた。
「・・・礼とか、全然言わなくていいから。そういうの、苦手。」
そして、パタパタッと隣のクラスに入って行った。
「笑美、先生きたよ。座ろ!」
「・・・うん。」
呆気にとられてる場合でもなく、うちらも自分の席に着いた。
先生の話に耳を傾けてるつもりでも、頭の中ではれーくんのことばが行き来してばっかりやった。
気がつけば、先生もいなくなってて、みんなは授業の用意をしてた。
うちも、授業の準備に取り掛かる。
「・・・数学。」
こんなとき、よりによって一時間目が数学。
また、れーくんのことを思い出す。


