ママの目は少し赤くて、今まで泣いてたみたいやった。
でも、今の状況が全然飲めてへんうちにとって、なんでママが泣いてるんかわからへんかった。
「ママ、どないしたん?」
「笑美、大丈夫?どこが痛い?先生呼んできた方がいいわよね、ちょっと待ってて。」
せわしなくうちの前から去って行ったママは、ホンマに慌ててた。
うちは自分の体がジンワリ痛い原因を、なんとか思い出そうと試みた。
というか、うちはなんでこんなとこにおんの?
そこがわからへんのに、分かるわけないか・・・。
「笑美さん、大丈夫ですか?」
白衣を着た病院の先生がそっと寄り添ってきた。
「あの、うちは何で体が痛いんですか?」
「覚えてませんか?事故に遭ったこと。もしかして記憶喪失などは?この方のお名前や、ご自分の名前など、分かりますか?」
「全部わかりますよ。うち、そこまでアホちゃいますよ。」


