うちもここに突っ立ってる場合やないし、とにかく欄のいる教室に向かうことにした。
ガラガラ―――
「欄~、帰るで。」
「うわっ!!」
「・・・何してんの?先生。」
「鈴木か。驚かせるな。欄なら今トイレに行ってる。」
「そうなん。」
驚いたんは、うちもやし。
数学の補習のはずやのに、なんで現国の中島先生がおんねん。
口に出かけた言葉は飲み込んで、もうひとつ気になったことを口にする。
「中島先生、何で欄のこと名前呼びなん?」
「へ!?」
これまたまぬけな声が教室中に響いたとき、廊下から「拓也ぁ」という声が聞こえた。


