今度は、手を離したまま…。

 急に温もりを失って、私は戸惑った。

 そのまま、立ち尽くしていると、交差点まで歩いて行ったマッキーが振り向いた。

「おせぇぞ、早く来いよ」

 マッキーが大声で言う。私は早歩きでマッキーのいる交差点まで歩いた。

「ったく、お前歩くの遅いな。やっぱり俺が手ぇつながねぇとな」

 何保護者面してんのよ。

 文句を言いたかったけど、差しのべられた手に、文句は言えなくなった。

「ほら、早く帰るぞ、カラスが鳴いてるからな」

 か、カラスが鳴いたら帰るって、昭和時代の話じゃないの!?

「ボーッとしてると、置いてくぞ」