「…ついたぞ」 屋上に通じるドアを開けて、彼は言った。 「…」 「…俺のこと無視したな?」 不意に言われて私は戸惑った。 「は?」 「俺のこと無視したら―――美っちゃん、どうなると思う?」 「私、美っちゃんじゃないんだけど」 私が言うと、彼は目を丸くして。 「は!?お前、昨日言ってたじゃねェか、美衣って」 「言ってない!」 「じゃあ、名前なんだよ」 改めて聞かれる。私は、息を吸ってから、 「東城美K―――んっ!?」 またしても、同じタイミングでキスされた。